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あなどれない脂肪肝

健康診断や人間ドックで、脂肪肝を指摘された方は多いのではないでしょうか。現在、日本では、脂肪肝は1000万人を超えると推定されており、10人に一人は脂肪肝ということになります。

脂肪肝は、肝臓に中性脂肪がたまる病気です。「脂肪」と聞くと、「脂っこいもの」「コレステロール」をイメージされると思いますが、肝臓の中にたまる中性脂肪の元となるのは炭水化物と糖分です。糖分は脳のエネルギー源ですので、脳の働きが活発な日中に不足しないよう、朝食、昼食はしっかり摂るようにしましょう。一方、夜間睡眠中は脳の活動が日中よりも落ちるので、糖分を摂りすぎる必要はありません。早食いもよくありません。おなか一杯食べてあとは寝るだけ。脂肪肝に一番悪い生活習慣です。栄養の摂りすぎだけでなく、偏った食事、運動不足も脂肪肝には大敵です。お酒の飲みすぎも脂肪肝の原因になります。前回お話しましたとおり、一日1合(アルコール20g)が適量です。

脂肪肝の方の9割は「単純脂肪肝」です。採血で肝臓の数値が高い以外は自覚症状はなく、日常生活に支障はありません。ただし、病気にかかって多くのお薬を飲むときや、手術で全身麻酔をかけるときなど、肝臓にストレスがかかったときに、肝機能が悪化することがあります。また、高血圧症や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を合併している場合があり、それらの管理が必要な方もおられます。

残りの1割は「脂肪性肝炎」で、これは放っておくと慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進んでいきます。肝臓はよく「沈黙の臓器」と言われます。たとえ肝硬変、肝がんへすすんでいっても、多くの方は自覚症状がありません。気が付いたら腹水がたまりだしたり、黄疸がでてきたり…。そうなってからでは、元の元気な状態に戻るのは難しくなります。

脂肪肝の診断は、血液検査と腹部超音波検査が基本です。血液検査では、AST、ALT、γGTPが指標になります。ただし、これらが正常範囲内であっても、AST<ALTとなっている方では、腹部超音波検査をすると脂肪肝が見つかることがあります。数値が正常だからと安心せず、ASTとALT、どちらの数値が高いかも気にしてください。

「単純脂肪肝」なのか「脂肪性肝炎」なのかを見分けることが大切です。「症状がないから大丈夫」と高をくくらず、一度、診察を受けてください。

 

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