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がんは身近な病気です

公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計」によりますと、一生涯でなんらかのがんにかかる確率は、2019年のデータで、男性では65.5%(3人に2人)、女性では51.2%(2人に1人)とされています。日本人の高血圧の罹患率が3人に1人、糖尿病の罹患率が10人に1人といわれていますので、それよりもがんにかかる確率は高いといえます。決して他人事ではないのです。

がんの部位別にみますと、男性では前立腺がん(11.0%)、大腸がん(10.3%)、胃がん(10.0%)、肺がん(10.0%)、肝臓がん(3.0%)の順で高く、女性では乳がん(11.2%)、大腸がん(8.1%)、肺がん(5.0%)、胃がん(4.7%)、子宮がん(3.4%)の順で高くなっています。近年、急速に増加している膵臓がんの罹患率は、2019年時点で男性2.7%、女性2.6%です。
では、がんを予防する方法はあるのでしょうか。

がんの一次予防は、感染症対策と生活習慣です

感染症が原因で発がんするおそれがあるものとして、ヘリコバクターピロリ(HP)菌の持続感染による胃がん、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの持続感染による肝細胞がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による子宮頸がんがあります。これらは、感染症対策を行うことで予防することが可能です。

胃内視鏡検査でHP菌に感染していると診断された方は、内服薬による除菌治療をお勧めします。

肝炎ウイルスに対しては、B型、C型ともに副作用が軽い内服の抗ウイルス薬があり、特にC型肝炎は、90%以上の確率でウイルスが駆除できます。

HPV感染の予防では、厚生労働省は令和4年4月から、HPVワクチンの接種対象年齢(小学校6年生から高校1年生)の女子への勧奨を再開しました。

生活習慣の改善も、がんの一次予防に大切なことです。

喫煙は肺がん、舌がん、咽頭・喉頭がん、食道がんなどのリスクを高めます。自分は煙草を吸わなくても、周りの人の煙草の煙を吸う場合(受動喫煙)も発がんリスクとなり、受動喫煙のある人は、ない人に比べて肺がんになるリスクが約1.3倍との報告があります。

過度の飲酒は、舌癌がん、咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がんと関連があります。節度ある適切な飲酒量は、日本酒なら一日1合、ビールなら中ビン1本(500ml)程度で、女性はその2/3です。健康こぼれ話・第1回「酒は百薬の長?」をご参照ください。

熱すぎる飲み物や食べ物をとる、塩分をとりすぎる、野菜や果物をとらない、といった食生活は、食道がん、胃がん、大腸がんの原因になると言われています。

仕事や運動で体を動かし、適正体重を維持することも、がんリスクの低下につながります。ウォーキングですと、一日7000~8000歩(およそ40分)が適当です。男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲内になるよう、体重を管理してください。

国立がん研究センターの調査により、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの改善可能な生活習慣に気を付けて生活している人は、全く気にしないか一つしか気にしない人と比べ、男性で43%、女性で37%、がんになるリスクが低くなるという推計が示されました。少なくとも2つ以上、健康習慣を実践しましょう。

がんの二次予防は、がん検診です

市区町村が行っている住民検診は以下の5つです。

・胃がん検診……50歳以上を対象に2年に1回の受診を推奨(X線検査のみ40歳以上を対象に毎年実施可能)

・子宮頸がん検診……20歳以上を対象に2年に1回の受診を推奨

・肺がん検診……40歳以上を対象に毎年の受診を推奨

・乳がん検診……40歳以上を対象に2年に1回の受診を推奨

・大腸がん検診……40歳以上を対象に毎年の受診を推奨

我が国のがん検診受診率は、2019年の統計で、胃がん42.4%、大腸がん44.2%、肺がん43.6%、乳がん47.4%、子宮がん43.7%となっています。

個人が、自分の死亡リスクを下げるために受ける任意型検診として、人間ドックなどもあります。

コロナ下で、がん検診の受診を控えていた方、症状がないから、がん家系でないから大丈夫、とこれまでがん検診を受診しなかった方。機会を見つけて、積極的に受診してください。

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